■コヘレトからの手紙

「空の空、一切は空である」という言葉から始まる聖書の書があります。「コヘレトの言葉」とか「伝道者の書」と呼ばれています。コヘレトとはヘブル語で伝道者という意味です。

この「空」という言葉は、ヘブル語の「ハベル」で、直訳すると息とか蒸気とか空っぽとかになりますが、ここでは、一瞬で消えるもの、はかないもの、というぐらいの意味だと考えてよいでしょう。

人間が苦労して手に入れることができるものは、手に入れたと思った途端に過ぎ去っていくものです。快楽も物質的な豊かさも知恵も、いつまでも手の中に収めておくことはできません。