■和解のエキササイズ(3)本当の家族になるために

 

「和解のエキササイズ」を始めるには、対立する両者が、心から和解を願っていること、そして、ルールに従って相手の話を聞こうとしていることが確認されなければならない。

ファシリテーターは、手続きの説明をするときに、両者が上の2つの条件に同意しているかどうかを確かめる必要がある。以下手続きについて説明する。

まず一方の当事者に、「私メッセージ」で一定時間話してもらう。感情が高ぶって悪口になってしまったら、ファシリテーターはそれを制止し、言い換えるように指示する。

聞いている人は、「それは違うでしょ」と言ってはならない。想像力を働かせて、話し手がどう感じ、どう判断したのかを、先入観や偏見を持たずに受け止める努力をする。

話し終えると、ファシリテーターは話を要約する。話し手にも、聞き手にも、自分の要約が正しい内容であったかを確認する。もし違うというなら訂正してもらう。

話が終わっていないのに、聞き手が途中で応答し始めるという「フライング」があれば、ファシリテーターは、自分の順番が来るまで応答を控え、良く聞くようにと注意する。

内容確認が終わったら、別の人が話し始める。もちろん、「私メッセージ」で話してもらう。聞き手は、それを虚心坦懐に聞く。話す時間はなるべく平等にする。

話す内容は、先に話した人への応答でもよいし、別の話でもよい。相手の行動を通して、自分がどう影響を受けたか、どう感じたかを話す。遡って昔のことを蒸し返さないようにする。

話が終わると、ファシリテーターはそれを要約する。要約が合っているかを参加者全員で確認する。確認が終わると、また次の人が話す。

これを繰り返している間に、参加者は、いかに自分が相手の気持ちを理解していなかったか、ということに気付くようになる。

先日、このエキササイズに参加した人が、終盤に印象深いことを口にした。「相手にネガティブな応答をするのは、関係を切るときだけだと思っていました。」

相手の感情にじっくり耳を傾け、自分の気持ちを節度をもって明確に表現する、という新しい習慣を身に付けることで、本当の家族になっていけるんだと思う。

 

コロサイ人への手紙3章16節
知恵を尽くして互いに教え、互いに戒め、詩と賛美と霊の歌とにより、感謝にあふれて心から神に向かって歌いなさい。