ライフトランスフォーメーション・グループ 1

LTGは、3つの重要な自己訓練、つまり、罪の告白と聖書通読ととりなしを組み合わせた弟子増殖のシステムです。 2人か3人のグループを作り、御心にかなった生活をしているかを健全にチェックしあい、励ましあって、互いの成長を助けあいます。

互いに罪を告白しあう関係

ヤコブの手紙の中には、「互いに罪を言い表わし、互いのために祈りなさい。いやされるためです」(5章16節)と記されています。単に「罪を言い表わす方がいいよ」というのではなく、「罪を言い表わしなさい」と命令形で書かれています。罪を告白しあうことは、互いに支えあう関係の具体的な表現です。それは単に「あった方がいいもの」ではなく、なくてはならないものです。

罪の告白は罰ではなく神からの祝福です。それは、神のみ前で「私は神の恵みと赦しがなければ生きていけない者です」という「赦された罪人の現実」を、へりくだって表明する機会です。愛しあう関係の中で正直に告白することで、隠れた罪の力に立ち向かう勇気と、罪を犯したことによって受けた心の傷のいやしが与えられます。

私は毎週、秘密を守ってくれる身近な友人と、罪を告白しあう交わりを続けています。犯した罪を友人の前で告白することは恥ずかしいことです。しかし、そのことにより「罪を恥じる」という健全な感覚を保ち続けることができます。正直に告白するときに意識する「恥」が、罪を隠す偽善的な生き方に対する歯止めとなります。

また、互いに告白しあうことにより、自分のありのままの姿を知った上で、自分の成長のために祈ってくれる友人が与えられているという恵みを味わうことができます。さらに、相手の弱さや戦いを知ることにより、互いの「信仰の戦い」に参戦することができます。いやしは、そのような透明な関係を通して与えられるのです。

罪の告白をすることを通して主に扱われ、次第に変えられていくパートナーの姿を見ることもまた恵みです。神のみ前にへりくだる者を神がどのように引き上げてくださるのかを、互いの生活の変化を見て確かめあうようになります。「水をくんだしもべ」だけが、なぜ水がぶどう酒に変わったのかを知ることができるのです。(ヨハネ2章9節)

さあ始めましょう!

それでは、どのようにして罪を告白しあう関係を築くことができるでしょう。秘訣は、「変えられたい」という切なる渇きを持つ1人か2人のパートナーが与えられるように祈り求めることです。数人からスタートすればよいのです。「スタート・スモール」を心がけましょう。正面から神様と向きあうならば、必ず恵まれた証が出てきます。すると、その証を通して、周囲に神を求める飢え渇きが生まれてくるはずです。

箴言27篇17節には、「鉄は鉄によってとがれ、人はその友によってとがれる」と記されています。もし、パートナーが見つかったら、「友によってとがれる」という目的をはっきりさせるために、共通の質問表を用い、1週間に1度、相互に罪を言い表わすようにしましょう。ライフ・トランスフォーメーション・グループ(LTG)では、罪の告白のための実践的な質問表を用います。質問表の内容については後述します。

LTGは、罪の告白を含む3つの重要な自己訓練を組み合わせたコンパクトな弟子増殖のシステムです。自己訓練と言っても、1人でするのではなく、2人か3人で構成される小さなグループを作って互いに助けあいます。そこでは3つのことが具体的に扱われます。第1に、告白を通して罪から絶えず清められること。第2に、聖書をたくさん読み、神の言葉によって養われ続けること。第3に、失われた人々のために祈り続けることです。

LTGを始めるためには、2つの条件を満たしていなければなりません。第1に、キリストに対して渇いていることです。おいしい水があっても、喉が渇いていない人は飲みません。「何が何でも変わりたい」と思っていることが重要です。第2に、プロセスに忠実であることです。すぐに妥協して決めたことを守る覚悟のない人は、始めない方がよいのです。特に秘密を守れない人は始めてはいけません。

週に1回1時間、数人で会う

男女を混ぜないで、2人か3人でグループを構成し、4人目を加えるときにはグループを2つに分けて、必ず増殖が起こるようにします。1週間に約1時間会い、質問表に従って罪を告白します。挨拶もそこそこに、短く祈って罪の告白を始めることが、だらだらしないコツです。互いに正直に罪を言い表わしましょう。パートナーの告白を聞いたら、第1ヨハネ1章9節を宣言し、罪の赦しを一緒に受け取ります。

たとえば、「私は××さんの悪口を言ってしまいました」という告白を聞いたなら、「『もし、私たちが自分の罪を言い表わすなら、神は真実で正しい方ですから、その罪を赦し、すべての悪から私たちをきよめてくださいます。』と聖書に記されています。あなたの罪はこの約束のとおり赦され、きよめられました。イエス様が罪責感を取り除いてくださいますように。今週は罪と戦い、隣人を愛することができますように。」と祈ります。

LTGを始めてもっとも早く成長する人は、新しいクリスチャンです。だから、彼らを育てるためにLTGをしようという気持ちになることもあるでしょう。しかし、第一義的には、誰かを育てるためにLTGをするのではなく、自分自身の成長と清めのためにしよう、と考えるべきです。成熟したリーダーは、「若いときには、そういうこともしたもんだ」とか言わないで、現在の自分の内面を正直にさらけだすことが必要です。そのように偽りのない心で自分の罪と向きあい、真剣に清めを求める先輩の姿が、副産物として新しい弟子を育てるのです。

相互の罪の告白と赦しの確認が済んだら、次回いつどこで会うかを決めます。また、次回会うときまでに読んでおく聖書の箇所を決めます。聖書の箇所の決め方などは後で説明します。3人でグループを組む場合も、LTGの時間が1時間半以上にならないようにしましょう。システムをシンプルに保つことが増殖の鍵です。カウンセリングやトレーニングなどとLTGを組み合わせたいという誘惑にあうでしょうが、大きくて複雑なシステムは増殖しません。野火のように弟子が増え広がることを望むなら、シンプルであり続ける必要があります。

私は3ヶ月間、あるファミリーレストランで、友人とふたりで昼休みにLTGをしたことがあります。ウエイトレスが注文を取りに来る前に祈りを済ませ、料理がテーブルに運ばれる前までに、どちらかが6割ぐらいの告白を済ませていました。実質的に食している間は中断して別の話をし、食後はお茶を飲みながら残りの4割の告白をし、続いてもう1人の人が告白をする、というようにして、1時間の昼休みの間にすべて終わらせていました。

人格形成の質問

「罪を憎んで人を憎まず!」パートナーは、神がその成長を心から願っておられる大切な神の子どもです。相手を裁いてはいけません。互いに心を開いて正直に罪の告白をしてください。質問は11項目あります。順番に読んで、心に責められることがあったり、妥協した覚えがあったりするなら、それを告白しましょう。まず1人が単独で11の質問に答え、終わったらパートナーが告白するというやり方でもいいし、項目ごとに参加者全員が罪を告白し、一巡したら一緒に次の質問に進むというやり方でも結構です。

  1. 先週、主イエス・キリストの偉大さを、言葉と行いを通して証ししましたか?
  2. 先週、性的誘惑になるようなものに目を止めましたか? 不適当な性的な思いを抱いて、自らを楽しませるようなことはありませんでしたか?
  3. 先週、お金のやり取りはすべて公正におこないましたか? 自分のものでないものを強く求めるようなことはありませんでしたか?
  4. 先週、あなたの身近な人の気持ちをよく理解し、やさしく寛大な心で接しましたか?
  5. 先週、直接もしくは陰で、人を傷つける様なことを言いませんでしたか?
  6. 先週、何かに病みつきになったり、何かの中毒になったことはありませんでしたか? 具体的に説明してください。
  7. 先週、誰かに対して腹を立て、怒りが収まらなくなったことはありませんでしたか?
  8. 先週、密かに誰かの不幸を願ったことはありませんでしたか?
  9. (自分のための特別な質問)
  10. 先週、定められた聖書箇所を読み終え、その箇所を通して個人的に語りかけてくださる主の声に耳を傾けましたか? その語りかけを聞いて何をしましたか?
  11. 今までの質問に、すべて正直に答えましたか?

9番目の質問は参加者個人が自由に設定します。神様との一対一の時間を確保したいと思っている人は、たとえば、「朝15分間、デボーションをすることができたか、と聞いてください」とパートナーにお願いします。ウエイトコントロールが気になる人は、たとえば、「夕食のとき、腹八分目で箸を置くことができたか、と聞いてください」とお願いします。自分の成長のために取り組んでみたいと思うことを、パートナーに聞いてもらってください。

LTG2へつづく