■浪花節だよ人生は
20年前、私のアイデンティティは研究者でした。日本に文脈化された宣教戦略を提示するのが自分に与えられた使命だと思っていました。
それで、東にムーブメントのネタがあれば取材に行き、西に先鋭的な論文が出れば取り寄せて読みました。フットワークは軽かったので、貪欲に情報を集めて分析し、論文や本やセミナーを通して発表していました。
その頃の私は、「日本を開くための鍵」を探している人のようでした。良いと思う鍵が見つかれば調達して鍵穴に差し入れてみました。うまく開かないときには、加工して削ったり、角度を変えて差し込んだりしていました。
ところが最近になって、自分は非常に大きな勘違いをしてきたのではないかと思うようになりました。鍵とは、自分で持ち歩く道具だと思っていたのですが、実は、鍵は私自身ではないかと思うようになったのです。