■神の国と感性

紹介文
西洋文明を経て日本に伝えられたキリスト教は、定義づけや説明によって理解したり他者に伝えたりする「知性に訴えるアプローチ」に満ちているように思われます。

ところが、日本文化においては、人生のテーマなど根幹的な概念について、「感性に訴えるアプローチ」が馴染みやすいのです。「神の国」という福音の主要なテーマについて、主イエスがどのようなアプローチを用いたのかを再考して、感性を用いることの可能性を考えたいと思います。


「幸せってなんだろう?」そんなことを誰しも一度ならず考えたことがあるでしょう。卒業、就職、転居、結婚など、自分自身の人生の節目に、そして、家族や友人・知人の人生の節目に立ち会って、このような問いかけを自らに投げかけたのではないでしょうか。

今のあなたが、そのように問いかけられたらどう答えるでしょうか。どのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。このいたって真摯な問いかけに答えようとするときに、私は「幸せって何だっけ、何だっけ、ポン酢醤油のある家さ~♪」というコマーシャルにもなったあの歌を思い出してしまいます<https://www.youtube.com/watch?v=MN4iA67BQKI>。 

もしかすると冒頭の問いかけに、私と同じように口ずさんだ人もいるかもしれません。私の場合、この一節がしばらくの間、くり返し頭の中で響いた後で、ようやく問いかけそのものに向きあうことができるのです。メロディーと言えば良いのでしょうか、音楽というものの力を感じざるを得ません。