■福音は伝わっていますか(7) 霊的力の表現

・ユタ関係者の間で起こった宣教ムーブメント

1980年代半ばに、1年で100人ほどのユタ(沖縄県と鹿児島県奄美群島の民間霊媒師)関係者が、次々と洗礼を受けるという宣教ムーブメントがありました。松森善正という人が、そのムーブメントの起点になりました。

この方は、昭和初期のホーリネスリバイバルのときに回心したのですが、20歳ぐらいの時に、信仰に躓き、教職者になることを断念して実業界に入りました。最終的にはヨーロッパの銀行の取締役になられたという経歴の持ち主です。

70歳を過ぎた頃、大病を患われたのですが、そのとき、イエスさまが彼に、「私はあなたを伝道者として召していたのに、あなたはまだ使命を果たしていない」と語られました。その召命に従うと決心し、そのように神に申し上げた途端に、病気がいやされました。

その後、彼は沖縄伝道を志しました。宣教地を沖縄にしたのには理由がありました。若い頃、同志社大学神学部で古神道を研究していたことがあるのですが、比較宗教の調査のために沖縄でユタと行動を共にしていました。そんなある日、比嘉という名前の影響力のあるユタのリーダーが、松森を指差して、「この人の内には強い神様が宿っておられる」と言って後継者に指名したのです。

比嘉の他界後、ユタのグループの他のリーダーたちは、かつて比嘉に指名された松森に次のトップリーダーになってもらおうと相談し、当時東京に住んでいた松森に何度も手紙を送りました。そういう関係がすでにあったので、松森はユタの文化的背景のある人々に福音を伝えようとしたのでした。

松森の伝道の仕方は独特なものでした。彼はキリストや教会などという言葉は一切使わずに、ユタとユタの関係者を沖縄ハーバービューホテルのロビーに呼び出しました。その中には、会社経営者、医師、マッサージ協会会長、農協の参事、教師などが含まれていました。