紀元1世紀の教会出席:1

(ロバート・バンクス著、三上章訳)

この文章は、初代教会の様子を現代のクリスチャンに伝えることを目的としており、綿密な考古学的研究の成果によるものです。
著者ロバート・バンクス氏はオーストラリア・シドニーにあるマッコーリー大学で教鞭を取る研究者で、聖書研究、クリスチャンのライフスタイル、共同体の形成、信仰と仕事、リーダーシップなどについて著作があります。

第一版の序文

紀元1世紀中頃の初期キリスト教集会に出席するとは、どのようなことであったかのか。
この短い物語は、それを描写することを試みたものだ。
場所はローマを選んだ。
当時の日常生活の詳細については、他の場所よりもローマのほうがよく知られているからである。
教会の主人役にはアクラとプリスカを選んだ。
長年にわたるパウロとの関係から見て、彼らの家の集会は、パウロ書簡が示す線に沿っていた可能性が非常に高いと思われるからである。
描写は、何らかの資料に基づくようできるだけ努めたつもりである。
資料がない場合は、想像で空白を埋めざるをえなかったが、抑制を心がけ、自分勝手な解釈にならないよう努めた。

研究資料としては、聖書とそれ以外のローマやギリシャの文献、さらに考古学と碑文の資料を用いた。
その多くは、著者が、オーストラリアのシドニーにあるマッコーリー大学で長年にわたって書き上げた長編の研究、「パウロの共同体観──歴史的背景から見た初期の家庭教会(Home Church)」(1975年、シドニー、アンズィー社)の成果である。
この小冊子に示された教会観の根拠となる聖書箇所をお知りになりたい読者は、この本を参照していただきたい。
その他の資料研究、特に紀元1世紀のローマの生活に関するものは、南ドイツのチュービンゲン大学での在外研究の機会に行なったものである。
「キリスト教起源研究所」の助けで、その研究はやりやすく楽しいものとなった。

物語を準備するにあたりお世話になった多くの人たちに感謝したい。
準備期間中あたたかくもてなしてくれたチュービンゲンのキリスト教共同体の兄弟姉妹、特にスコット・バルチー、史的正確さを点検してくれたシドニーのマッコーリー大学のエドウィン・ジャッジとトム・ヒラード、校正刷りを読んでくれたピーター・ユイール、付録の討論用の問いを作ってくれたキャンベラのクリーブおよびルース・マンティー、シドニーのジャン・ロルフとハンフリー・バベッジ、そして最後に、励ましや有益な批評と編集の企画をしてくれたシドニーのヘクサゴン社のケン・ロルフに感謝する。

本書の発行にあたり私がただ一つ願うことは、本書には不充分な点もあろうかと思うが、キリスト者の方々に、かつて教会はどのようであったかを、そして今もどのようでありうるかを、いくぶんでも垣間見ていただきたいということである。
20世紀を経た今、私たちは活気を失っている。
歴史をさかのぼり、初期のキリスト者たちがしたことをそっくりまねることはできないにしても、彼らの集会の本質的性格を今世紀にふさわしい仕方で表わすことはできるだろう。
その結果、私たちは今のやり方を多くの点で変えなければならなくなるだろうが、それによって得るところは計り知れないであろう。
特に私は、教会についてあきらめている人たちと、キリスト者ではないが求めている一人ひとりのことを考えている。
これらの人たちが本書を通して、求めているものをよりはっきりと知り、やがて私と同じように、毎週それを現実に体験できるようになることを願っている。
これらのことがすでに現実となっている、世界中に存在する多くの小グループの人たちにこの小さな物語を献げる。

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