すべての未伝部族に福音を届ける(東南アジア)

宣教師 伊藤仁・ソジョン
リバイバルジャパン2012年11月4日号、P.6-7より転載。

1週間の伝道で8人が受洗

私たちは、東南アジアのB国で宣教をしています。家族構成は、私、伊藤仁(ひとし)と、妻のソジョン(韓国人)、子どもは4人で、長男の雄基(ゆうき・10歳)、愛希(あき・6歳)、聖治(せいじ・3歳)、光児(こうじ・1歳)の6人家族です。

2002年12月に、私はB国の牧師と出会いました。その出会いがきっかけとなり、3週間後に私は、彼と一緒にB国へと旅立ったのです。この国は当時、軍事政権下にあり、迫害もあります。仏教徒が90%以上で、経済的な貧困の中にあります。気候は40度を超すこともあります。私はその国の言葉も文化も全く知らず、息子の雄基は当時5ヶ月の赤ちゃんでした。しかし主は、私たちの祈りに応えて下さって、今までの約10年間、全てを守り導いて下さいました。主に感謝します!

「天外内トレーニング」との出会い

2008年からは、私たちはFTTという宣教運動に関わるようになりました。FTTとは、Finishing The Task の略で「任務を果たし終える」という意味です。これは、主イエスの大宣教命令という任務を果たすために2004年から始められた超教派宣教運動で、世界中の340以上の教団・宣教団体が協力しながら進めています。

全世界の約1万2千以上のピープル・グループ(民族・部族)のうち約3500部族には、自分の言葉で礼拝する教会がありません。そればかりか、聖書もなく、働き人もなく、その部族を宣教しようとしている教会・宣教団体もないのです。このような部族を「未開拓・未伝道部族」と呼んでいます。これらの部族の中で、教会が開拓されなければなりません。B国には、まだ数多くの未開拓・未伝道部族が存在しているのです。そのFTTのリストを見たとき、私は「このリストにある部族に、まずは一つずつ行ってみよう」と思いました。それがこのFTTに関わるようになったきっかけです。

そのような未開拓・未伝道部族に直接行ってみて感じたことは、「そのような教会が一つもない村や町(無教会地域)では、そこで伝道しようとしている現地人伝道者を助けて、信徒リーダーを養育して、家の教会を開拓していくことが鍵だ」ということです。しかし私は、具体的にどうやって進めていったらいいのかがわからず、ただ主に祈り求めていました。

そんなとき、日本に一時帰国していた間に「天外内トレーニング」のセミナーを受講しました。「天外内トレーニング」というのは、弟子育成方法の一つです。「天」とは神と自分との関係、「外」とは自分と世界との関係、「内」とは自分自身及び信者仲間との関係を表しています。クリスチャン生活を、この3つの関係で説明します。『敬天愛人』という本(福田充男著、地引網出版)の中で詳しく紹介されています。とてもシンプルで、また短いものです。普通の人でもすぐに理解でき、生活の中ですぐに実践できます。そして、トレーニングを受けた人がすぐに次の人に教えて、次々に弟子を生み出すことができるのです。

私はこのトレーニングを受けたとき、「これこそ私が求めていたものだ!」と思いました。そしてB国に帰って、すぐにこれをB国語に翻訳しました。信徒リーダーたちや村の人たち、子どもたちにもさっそく教えたら、これによって未信者によく証しできるようになりました。現在でも、未伝道部族や無教会地域に行くとき、いつもこれを使って教えています。

8人の洗礼者

2012年6月7〜13 日には、シャン州のタウンヨー族に伝道しているダンゴン牧師のところに短期宣教旅行に行って来ました。家族6人だけでなく私たちが協力しているエルベテル教会のタウンオル牧師夫妻を誘って一緒に行きました。

村伝道では、ある村長の家を訪問しました。市場伝道では、19人のチームでトラクト配布をしました。私もハンドスピーカーを握って、聖書の紙芝居の絵を見せながら、大声で伝道メッセージをしました。この国でこんな路傍伝道ができるなんて! 人々もよくトラクトを受け取り、関心を持って聴いてくれました。

主日にはダンゴン牧師の家で、タウンオル牧師が伝道講義をしました。20人以上が集まりました。タウンオル牧師は福音をわかりやすく説明し、熱弁をふるって2時間以上続けて聖書講義をしました。そして最後に私が洗礼を受けるようにチャレンジをしたら、3人が決心しました。昼食後、タウンオル牧師がもう一度講義した後、再度受洗のチャレンジをすると、5人が決心して、合計8人となりました。青年男性7人(タウンヨー族、パオ族、ダヌ族などの未伝道部族)と、主婦1人が受洗することになりました。

当初、洗礼式は予定していなかったのですが、牧師たちと相談した結果、今日すぐにやった方が良いということになりました。近くに洗礼槽も川もないので、急いで大きなビニールシートを買って来て、竹の棒で枠を作り、その上にビニールシートをかぶせて井戸水を汲み、あっという間に「臨時洗礼槽」が出来上がりました。8人のうち、4人はタウンオル牧師が、4人は私が洗礼を授けました。受ける8人も、周りみんなも大喜びでした。全員が未信者家庭の出身で、しかも一気に8人も受洗するのを見るのは、私がこの国に来て初めてです!

彼らの部族は皆、仏教や精霊崇拝の背景があり、もしクリスチャンになれば家から追い出される可能性もあります。にもかかわらず、彼らは洗礼を受ける決心をしたのです。今まで教会が無かったその村で、初めて教会が生み出されました。私たちがしたことは、1週間だけ来て、伝道をして、現地の牧師につなげて去る、それだけです。それでも「未伝道部族に教会を生み出す」というビジョンが一歩実現したのです。

全ての未伝道部族へ

今回の宣教旅行は、現地人の伝道者たちとチームワークで伝道したことが大きな収穫につながりました。それぞれ自分たちの賜物をもって、謙遜に仕え合って一つになったとき、主の栄光が現わされました。タウンオル牧師夫妻は、「この宣教旅行に来て本当に良かった。誘ってくださって感謝です。」と何度も言ってくださいました。開拓して15年、夫婦そろって宣教旅行に行くのは今回が初めてだったそうです。教会の仕事で色々と大変なのですが、それを一旦置いて決心して宣教に出掛けたとき、大きな祝福を受けました。リフレッシュされ、新しい宣教のビジョンに燃やされ、喜びに満たされて帰って行ったのです。人間の計画を超えた素晴らしい主の御業に感謝します。

今、この国は激変期を迎えています。政治的にも民主化が進み、経済的にも開放されてきています。そして霊的にも、大いなるリバイバルと魂の大収穫の時が来ています。以前は、政府による統制や仏教からの迫害もしばしばでした。しかし今は、伝道をしていても、人々の心が開かれているのを感じます。今こそ私たちが、全ての未伝道部族、全ての無教会地域の町々村々に出掛けて行って福音を宣べ伝える時です。

「B国にある全ての民族・地域に教会を生み出す」というのが私たちのビジョンです。そして、日本の教会・クリスチャンの皆さんがもっとたくさん宣教旅行に来られ、未伝道部族・地域と繋がるように、ネットワーク・橋渡しの役割をして参ります。私たち一家が、この国で主に仕え、福音に仕え、神の御国が拡がっていきますように、お祈りください。


伊藤宣教師一家

    【連絡先】

  • 伊藤ファミリーを支える会(代表:武藤哲夫)
  • 電話:03 -3864 -7551
  • Eメール:itofamily@onthewayjp.net
  • 【献金先】

  • 「伊藤ファミリーを支える会」
  • 郵便振替口座:00120 -3 -694676
  • ゆうちょ銀行:記号10000 番号62319451


8人の受洗者


洗礼を受ける青年

宣教師 伊藤仁・ソジョン