■本当に愛していますか
教会の皆さんが集まるとき、ときどき、神様の声を聞く練習をする。「私のことをどう思っていますか」とか、「私に何をしなさいとおっしゃっているのですか」と聞くのだ。
先日集まったときに、しばらく黙想した後、「神の声を聞いた人がいたら、何でも分かちあってください」と言った。すると、ある年配の婦人が口を開いた。
神様は彼女にこう語られたそうだ。「ああしてほしい、こうしてほしいと、一方的に要求してはなりません。私が話していることを、耳を澄まして聞きなさい。」と。
僕たちは彼女のために、「神様がおっしゃっていることを聞くことができるように。また、会話のキャッチボールができるように。」と祈った。
その翌日、彼女は、友人からぶどうをもらった。「ぶどうの芸術品」とも呼ばれている、 高価なマスカット・オブ・アレキサンドリアだ。
彼女はぶどうが大好きで、ついつい食べ過ぎてしまうそうだ。お腹の調子が悪くなって医者に診てもらうと、「またぶどうを食べ過ぎましたね」と言われるとのこと。
普段は、自分が食べなくても家族に食べさせるやさしいご婦人なのだが、事がぶどうとなると話は変わってくる。
ぶどうを買うと、冷蔵庫の奥に隠し、家族にわからないように、1人で食べるという。まして、今回は入手したのは「芸術品」だ。
1週間かけて、誰もいないときに少しずつ味わって食べた。もちろん、全部独り占めにし た。
週の終わりにさしかかったときに、彼女は、このぶどうの1件については、神様に尋ねていなかったことに気付いた。そこで、祈ってみることにした。
祈る前の予想は、神様も自分の好物を知っておられるはずなのだから、少しぐらい独り占 めにしてもいいよ、と言われると思った。
しかし、聞いてみて、びっくりした。なぜなら、神様は、「あなたは本当に家族を愛していますか」と聞かれたからだ。
僕はその話を聞いて、美しい会話だなあ、と思った。神様は僕たちの手を取って、やさしく導いてくださる。僕にも、「本当にあの人、この人を愛しているか」と、迫ってくださるのだな、と思った。
マタイ22章29節
あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ。