■なごり雪

 

先日、テレビ番組で、70年代に一世を風靡したフォークグループ「かぐや姫」の伊勢正三が、「なごり雪」のヒットで有名なイルカと一緒に出演していた。メディア嫌いの伊勢がインタビューに答えている図は、生まれて初めて見た。なつかしかった。

「なごり雪」は、伊勢正三作詞・作曲の名曲で、後に学校音楽の教材になった。近年では、平原綾香や徳永英明がカバーしている。私は高校生のときに、作者である伊勢正三が歌うオリジナル曲をコピーして、自分のバンドで歌っていた。

そうこうしているうちにイルカが歌うようになり、あっという間に、55万枚近くのセールスをあげ、オリコンチャートで4位になった。好きな歌がヒットしたのは嬉しかったが、イルカの歌い方は、オリジナルに親しんだ私には違和感があった。

ところが、イルカが番組の中で意外なことを言った。「かぐや姫のイメージを大切にしたかったので、壊したくないと思い、最初は(カバーを)イヤだと言った。でも、伊勢さんに『イルカさん歌ってみたら』といわれて思い切った。」とのこと。

ファンの私が違和感があるぐらいだから、作った本人は、イルカの歌を聴いて、いろいろ複雑な思いがあったのかな、と想像する。しかし、伊勢正三が、イルカを励まさなかったら、この歌がここまで人々に親しまれることはなかっただろう。

自分のイメージを脇においても、人の可能性を見抜き、「やってみたら」と励ます人がいないと、広く人々に影響を及ぼすようなことは起こってこない。カラオケで、イルカバージョンの「なごり雪」も歌ってみるか。

 

ヨハネの福音書1章42節
イエスはシモンに目を留めて言われた。「あなたはヨハネの子シモンです。あなたをケパ (訳すとペテロ)と呼ぶことにします。」