■光を輝かせる

 

新聞配達をしながら、専門学校で勉強していた22歳の青年がいた。学校の前には公園があり、そこで、60歳ぐらいの男たちが寝泊まりして生活していた。彼はイエス様のように、男たちの友達になることで、彼らに神様の愛を伝えたいと思った。

お金を渡しても、酒代に消えてしまうので、何か別の方法で、彼らに仕えることができないか、と思い巡らしていた。寒さが身にしみるある冬の日、不用になった毛布を学校から譲り受けることができたので、それらを持ってテントを訪ねた。

青年は振り返る。「最初に毛布を持っていったときは、そっけない感じでしたが、だんだんと心を開いてくれるようになりました。僕が公園に行くとコーヒーをごちそうしてくれました。たき火をかこみながら色々と語りあえるようになりました。」

やがて、青年は彼らを専門学校に招いて食事をふるまったり、散髪をしてあげたり、一緒に銭湯に行ったりするようになった。すると、偽名を使っていた彼らが本名を明かすようになった。テントの中にまで招いて、身の上話をするようになった。

公園で生活していた男たちの中には、かつて非社会的な組織に属していた人がいた。皆から一番嫌われていた男性は、十年以上組から逃げていた人だった。その人が最初にイエス様を受け入れた。青年は、彼と一緒に聖書を読み、祈るようになった。

回心後、誰が見ても変わったと思えるような顕著な生活の変化が起こった。彼は、顔を隠す為の帽子を取るようになり、ひげもそり落とした。盗みをやめ、喧嘩をやめ、周囲の男たちに挨拶するようにまでなった。毎日一升飲んでいた酒もやめた。

生活の変化をもっとも身近で目撃した人がいた。ある日、隣のテントの男が青年に告白した。「この人が変わるってことは、神様はいますね。」と。彼は無神論者だと言っていたが、一緒に聖書を読むようになり、その後すぐにイエス様を信じた。

橋の下に住んでいた別の男がいた。彼はテントを持っていなかった。青年は、寝袋を買って彼に渡した。そして、言った。「地上では家がなくなることもあるけど、イエス様のおられる天国では、誰でも家を持てますよ。」その人もイエス様を信じた。

青年は、男たちから絶大な信頼を得るようになった。彼は専門学校のキッチンを借りて、毎週礼拝をするようになった。二十歳過ぎの彼の元に、初老の男たちがたくさん相談に来た。救われる人も起こされたが、詐欺紛いの被害を被ることもあった。

とうとう男たちの間で傷害事件まで起きた。元団体構成員で、酒癖の悪いギャンブル狂いの男が、生活保護を受けていた男の金を巻き上げていた。金を奪われた男は、度重なる脅迫に耐えかねて反撃し、刃物で加害者の男を刺してしまった。

刺された男は、顔を7ヵ所と腹部を1ヵ所刺されたが、九死に一生を得た。今度は被害者となってしまった男の病院に、青年は出向いて話した。「刺したおじさんを赦してもらえないなかあ。」青年は毎日彼の病室に差し入れをし、彼のために祈った。

やがて男は、悪業を悔いて、病床でイエス様を受け入れたのだそうだ。その後、彼は酒もギャンブルもやめた。そして、まったく生活が変えられたとのこと。「イエス様のように生きたい」と思った青年が用いられて、神の愛が男たちに流れていった。

 

マタイの福音書5章16節
あなたがたの光を人々の前で輝かせ、人々があなたがたの良い行ないを見て、天におられるあなたがたの父をあがめるようにしなさい。