■言葉の守備範囲

 

雨の多い日本では、雨を表わす言葉が多い。たとえば、春雨、時雨、にわか雨、小糠雨、夕立、喜雨、霧雨、通り雨、五月雨、涙雨、氷雨、遣らずの雨。一方、氷に囲まれて生きているイヌイットでは、氷の状態によって数百の異なった表現がある。

中国語はどうか。中国語には、「これ」という表現はあるが、「それ」と「あれ」の区別がない。自分の近くにないものは、すべて一つの言葉でまとめて表現される。中国人は、自分と他者との関係や距離感には、あまり関心がないのかもしれない。

周囲に張り巡らされている人間関係の網の中で、自分がどう見られているかを気にしながら生きている日本人には、想像しにくいことだ。日本人は全体のバランスと位置関係を見るが、中国人はそういうことには頓着せず、目の前の課題に取り組む。

中国人から学ぶことは何か。考えてばかりいないで、今を生きるということだろう。日本人はしばしば、「まるく収まる」ことを目標とするあまり、今できることまで後回しにしてしまう。本番に弱いとするなら、「今、ここ」に集中していないからだ。

では、中国人が日本人から学ぶことは何か。中・長期的戦略、以和為貴、同行二人、チーム戦略。If you want to go fast, go alone, if you want to go far, go together.異なる特徴を持つ人たちが組み合わされて働くときに、継続的な実りが期待できる。

神は、中国人も日本人も、ご自身のかたちに作られた。それぞれが神の目に尊く美しい。中国人でないと行けない所がある。日本人でないと思いつかない視点がある。もし、互いが互いを必要としていることを、認めて協力することができるなら…。

 

第1コリント12章21節
目が手に向かって、「私はあなたを必要としない。」と言うことはできないし、頭が足に向かって、「私はあなたを必要としない。」と言うこともできません。