■相手を大人として扱う
アフリカのザンビア出身のエコノミストで、ダンビサ・モヨという女性のエコノミストがいます。彼女は、2009年に「DEAD AID: Why Aid is Not Working and How There is Another Way for Africa」という本を出しました。翌年の2010年に『援助じゃアフリカは発展しない』というタイトルの邦訳が東洋経済新報社から刊行されました。
モヨはその著書の中で、下のような事例を挙げて有効な援助とは何かということを問いかけています。
「蚊帳をつくる者がアフリカにいると仮定しよう。彼は1週間におよそ500張りの蚊帳をつくる。彼は10名の従業員を雇用し、その従業員の一人ひとりは、(アフリカの他の多くの国と同様に)15名以上の扶養家族を養わなければならないとする。彼がどんなに一生懸命働いても、十分な量のマラリヤ予防のための蚊帳をつくることはできない。
そこでハリウッドの映画スターが登場し、マラリヤが蔓延する地域に100万ドルの費用で10万張りの蚊帳を送るよう欧米諸国の市民に声高に働きかけ、彼らの政府を鼓舞するとしよう。その後、外国製の蚊帳は現地に届き配布されて『善行』は成し遂げられる。