■日本正教会の歴史から学ぶ(下):弟子育成ムーブメントを妨げるもの

前回の記事では、日本正教会が急増した現象を取り上げました。これが、日本初の弟子育成ムーブメントでした。30年間で30,000人が救われたという驚くべき現象でしたが、現在では、日本正教会はわずかな信徒を残すのみとなっています。今回の記事では、弟子育成ムーブメントを妨げる三つの要素について考えてまいりましょう。

1:クリスチャン精神を十分育てていないこと

日本正教会の歴史から学ぶ取ることができる、現代の宣教運動に対する最大のチャレンジは、クリスチャン精神を育てることです。ニコライは「日本の教会は百年間宣教師に指導され続けないとつぶれてしまう」と言ったそうです。彼が意味したのは、キリスト教に入信したばかりの人を教会の指導に委ねることは非常に危険だということでした。特に、危機的な状況下では、信徒が新しく出会ったキリスト教の価値観より、入信前に子供の頃からずっと身につけた自文化の価値観に影響されてしまうからです。