■キリスト直結(9)「ありえる」と告白する
アラムの王であったベン・ハダデの全軍が、サマリヤを町ごと包囲したときの話です(第2列王6:23-24)。兵糧攻めが功を奏し、城内で餓死者が続出しました。また、生存者も物不足に伴う過剰インフレに苦しんでいました。
普段なら宗教的に汚れている上に、まずくて食べる者などいないロバの頭が、80シェケル(5000円ぐらい)で流通し、飢饉の前には、ただ同然だった鳩の糞300ミリリットル(一カブの四分の一)が銀5シェケル、つまり数百円で売られるという始末でした。そんな量では何も燃やせません。
そのとき、神の人エリシャが王の使者に言いました。「主のことばを聞きなさい。主はこう仰せられる。『あすの今ごろ、サマリヤの門で、上等の小麦粉一セアが一シェケルで、大麦二セアが一シェケルで売られるようになる。』」(第2列王7:1)
ほんの24時間後に、7.6リットルの上質の小麦粉が数十円で、大麦も15リットル程度のものが同じく数十円で売られるというのです<http://www.logos-ministries.org/old_b/2kgs6-7.html>。本当にそうだと万々歳ですが、いくら預言者の言葉とは言え、現状とはかけ離れた数字です。それを聞いた多くの人々の心に疑いが起こったと考えられます。
ここで黙っていれば何事もなかったのですが、一人の人は「そんなことはありえない」と口に出して言ってしまいました。「侍従で、王がその腕に寄りかかっていた者が、神の人に答えて言った。『たとい、主が天に窓を作られるにしても、そんなことがあるだろうか。』」(第2列王7:2)すぐさまエリシャが答えました。「確かに、あなたは自分の目でそれを見るが、それを食べることはできない。」(第2列王7:2)
彼は王の補佐官でした。この難局にあたってどのように外敵を打ち破り、国民を守るべきかを王に進言する立場の人でした。小麦や大麦がどのくらい蔵に残っていたかを誰よりも知っていた人でした。だから、そのようなサプライズは起こるはずがないという彼の推測には根拠がありました。しかし、それをおっしゃったのが他ならぬ「主」だったというところが、特別な条件だったのです。