■地域開発試論(4) – 過密過疎の起源

「ドキュメント日本の現場: 出稼ぎアパートの冬 – 三河・自動車産業の町で」と題する番組を見ました。地方で仕事を見つけることができなかった人たちが、故郷を離れて、自動車産業が好調な愛知県に出稼ぎにやってきています。家族を離れて過酷な工場型派遣労働をする人たちの様子を見て、どうしてこんなに格差が広がってしまったのだろうと思いました。

愛知県の有効求人倍率は全国1位で、沖縄や青森の4倍です。青森県の弘前市でバスの運転手をしていた人が、番組の中で最初に取り上げられていました。勤めていた会社の経営が悪化し、給料が初任給を下回ったことで、出稼ぎに踏み出したのだそうです。1ヶ月の給料は月平均40時間の残業代を入れて約25万円。そのほとんどを青森の家族に仕送り、後の4万円で暮らしています。3人の子どもの写真を見ながら、一人アパートで「寂しい」とつぶやいていました。

地方が壊れています。人口が自然に減少し、高齢化によって地域社会が崩壊への道を進んでいます。年収300万円以下の労働人口が全体の4割を超えていますが<http://nensyu-labo.com/heikin_kakusa.htm>、一人あたりの県民所得が低いのは、沖縄、鳥取、高知、宮崎、島根(低い順)となっていて、いずれも大都市圏から離れた地域です<http://tabibitojin.com/income_each_area/>。

さらに、過疎によって具体的な問題が起こっています。農村人口が減少することで、森林・農村システムが疲弊し、森林や農地は荒廃しています。

それに引き換え、東京都港区では年収1000万円以上の人口が、26パーセントに達しています。人口と富が集中する都市と人口と産業が減退する地方という二極分化が起こっているのです。

とは言え、確かに東京圏を筆頭とする大都市圏は所得は高いのですが、人口の過剰集中によって過密が激化しています。都市住民は、交通等の混雑、各種公害、住環境の悪化に悩まされています。

今回の記事では、なぜこのような人口のアンバランスが生じたのかを、国土計画の歴史を顧みることを通して辿ります。