■地域開発試論(7) – 補完性原理とは
「補完性原理」は、地域開発の根拠となっている考え方です。これは、1931 年に当時のローマ教皇ピウス11世によって発せられた社会回勅『社会秩序の再建』が起源だと言われています。ヨーロッパのカトリック教会発のメッセージが、日本を含めた近代国家の地域計画や地方自治の原理として、さらに、住民主体のまちづくりや、果ては道州制導入までもの理論的柱となっているのです。
回勅は、ヨーロッパの社会秩序が崩壊する時代に向けたメッセージとして発せられました。第一次大戦後に社会経済秩序が混迷していたヨーロッパは、1930 年代には 世界大恐慌とファシズムの台頭を経験しました。このような時代に、ローマ教会は、労働者の尊厳を守るというテーマを含んだ「社会システムの根本的検討」を迫られたのです。