■中国人であり続けてください – 中国の教会へのお願い
1960年代に入り、運搬や輸送、情報伝達技術等の技術革新によって人やモノ,カネ,情報などがこれまで考えられなかったような地球的規模で大量かつ迅速(ときには瞬時)に移動し、それによって地球全体があたかも一つの村のごとく一体化するようになった。いわゆるグローバル化である。
グローバル化が社会に及ぼす影響については、さまざまな評価があるが、その一つとして「グル―バル化の均質化論」がある。グローバル化はそれが地域や地方の伝統的かつ固有の社会や文化を圧倒して破壊し、消滅させるという主張である。
グローバル化は波にたとえることができる。アメリカ・ヨーロッパの先進諸国という起点、つまり中心から文化侵略の波が広がり、非欧米の発展途上国という到達点、つまり周縁にまで押し寄せ、その地域や地方の文化を西洋化してしまう。
筆者は宣教師として30年間、中国を見続けてきた。中国は改革開放政策以来、さまざまな分野で変化を遂げてきた。現在、中国はGDPで日本を追い越し、世界第2位まで成長した。人々の生活は以前に比べると大変豊かになった。
豊かになったことは良いことだが、残念に思うこともある。それは、北京、上海、シンセンなどの大都市に行くと、中国の「におい」が感じられなくなってしまったことである。地下鉄の駅はどこも同じようであり、ブランド品を扱う店が入っている百貨店やショッピングセンターの様子は、銀座や心斎橋と変わりがない。