■5段階の権能移譲
「見よ、すべてが新しくなりました」(第2コリント5:17)という、ありがたい更新の宣言が聖書に記されていますが、これは、罪赦されてキリストと結び付けられて「新しい立場」を与えられたということを意味しているのであって、急に聖人君主になったという意味ではありません。
むしろ、「新しい誕生」と考える方が理解しやすいと思います。命が与えられる前と後ではまったく違う質の存在となったのですが、だからこそ、その結果として、キリストのように変えられていくという「一生涯続くプロセス」に入れられました。命があるから、段階を追って徐々に成長していきます。一夜にして別人になるというわけではないのです。
いつの日にか、主と同じ姿に変えられていくという望みは持つべきですが、栄光のある段階から次の栄光の段階へと変わっていくのであって、一足飛びに何でもできるようになるわけでありません(参照: 第2コリント3:18)。イエスさまも、「夜は寝て、朝は起き、そうこうしているうちに、種は芽を出して育ちます。どのようにしてか、人は知りません」(マルコ4:27)とおっしゃっています。
その一歩一歩の成長を助けるために、「耕す」という行為が必要です。神のかたちに造られた人間に与えられた最初の仕事は、耕して他者の成長を助けることでした。