■忠実なしもべよ、よくやった

紹介文
将来、わたしたちが主にお会いする時、「忠実なしもべよ、よくやった」と言っていただくこと、これがすべて主に愛されている者の最大の願いである。それでは、どのようにすればそのお言葉をいただくことができるのだろうか。イエスが語ったたとえと、パウロの生き方を通して考察する。


・父の人生

「無事これ名馬」という言葉がある。これは作家・菊池寛の造語と言われている。競争馬を指して「能力が多少劣っていても、怪我なく無事に走り続ける馬は名馬だ」という意味をもつ格言である。私の父はこの格言を体現した男だったと思っている。

生前、父に「人生の中で何が一番大切か」と聞いたことがあった。父は「まじめに生きることだ」と言っていた。軽口やお世辞が言えない性格で、話をしても面白みに欠け、すぐに癇癪を起こすなど、人として欠点はたくさんあった。父が家にいると、何か空気が重くて息苦しさを感じた。

しかし、定年退職まで30年にわたって、放送業界(ABC朝日放送テレビ)で技術屋として忠実に働き、一つのことを成し遂げたことは尊敬に値する。当時、発展著しく華やかな業界だったテレビ界の中では、いろいろな誘惑があっただろうが、84年間「真面目一徹」の人生だった。最期は病床でイエス様を信じ、罪赦されて天国へ凱旋した。

・タラントのたとえ

マタイの福音書25章14-28節に、旅に出る主人が3人のしもべに財産を預ける話が記載されている。ある主人が3人のしもべに、おのおのの能力に応じて、5タラント、2タラント、1タラントを預けて旅に出た。天の御国のたとえの一つだ。