■Cool Japan!(1) 一富士、二鷹、三茄子

紹介文
「自分の強みを自覚するのは難しい」とある人が言いました。私たち日本人は、弱点や欠点と思われるものには敏感ですが、自分の長所や強みには、あまり注意を払わないのではないでしょうか。

ある調査によれば、世界で最も人気のある観光地は日本だそうです。しかし、世界の人々が感じている日本の魅力や良さを、日本人である私たち自身が一番自覚していないのかもしれません。また、西洋的な世界観を内包するキリスト教に慣れ親しんでいる私たちは、西洋文化と比較して、日本の社会や文化に対して否定的に評価する傾向があるようです。

このシリーズでは、「Cool Japan!(クールジャパン!)」と題して日本の文化や社会の生業を、聖書に示されている価値観を用いて、観察し直すことを試みます。


外国人観光客に「来日した一番のお目当ては何ですか?」と問うときに、最も頻繁に返ってくる答えが「富士山!」なのだそうです。日本政府観光局や民間の旅行会社などが日本のイメージを海外にアピールするときに、必ずといってよいほど富士山を取り上げることが要因の一つなのかもしれません。「富士山」と答えた観光客のすべてが、実際に富士山に登るわけではないでしょう。しかし、来日中に雄大な富士山の姿を実際に見たいと、多くの観光客が期待していると思います。

このような期待は、海外からの観光客に限ったことではなく、私たち日本人の多くもまた同じように富士山を特別視していると言っても、言い過ぎではないと思います。国内線の旅客機で、東西を行き来する人なら誰でも、上空から、富士山を見ようと飛行機の窓から外をのぞき込んだことが、一度ならずあることでしょう。

桜の枝から垣間見える富士山、湖岸に反射する「逆さ富士」、揺れるススキの上に雪化粧をした富士山などを見ることのできる「絶景スポット」には、スマートフォンで自撮りをする人や三脚を据えて一眼レフを構える人などで、人だかりができるほどです。また、都内の高層ビルから展望する際にも、最初に富士山を探す人が多いのではないでしょうか。