■福音は伝わっていますか(11) あなたの家族のところに帰りなさい
紹介文
ある集団の中に長期にわたって根付いている生きた結びつきがあるのなら、そこから回心者を引き抜いて、もう一つの新しいキリスト教共同体に招き入れる必要はありません。共同体はすでにあります。必要なのはキリストです。家族や職場や地域や友人との関係を保ちながら、イエスさまに従って生きることができるということを、回心者に説明しましょう。
アウトサイダーは、インサイダーが救われたら、私が私の文化的規範や価値観であなたを訓練してあげようと言わずに、「あなたの家、あなたの家族のところに帰り、主があなたに、どんなに大きなことをしてくださったか、どんなにあわれんでくださったかを、知らせなさい」(マルコ5:19)と言って既存の共同体に送り返すべきなのです。
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・他人の目が気になる日本人
前回配信した「ルカ第10章的宣教」の記事では、地域外から派遣されて、あるコミュニティに到達した弟子たち(以下、アウトサイダー)の心構えや行動ステップについて中心に論じました。ここではメッセージを受け取ったコミュニティ内の平安の子を含む人々(以下、インサイダー)の思いについて考察してまいります。
最初に、よく知られたジョークをご紹介します。ある高層デパートで火災が起こり、様々な国の人がビルに取り残されました。飛び降りるためのトランポリンを用意したのですが、皆尻込みして飛び降りません。どう言えば飛び降りる決断を促すことができるでしょう。
アメリカ人には、「ここで飛び降りるとヒーローになれる」と言うと飛び降りる。ドイツ人には、「飛び降りる規則がある」と言う。イタリア人には「女にモテる」と言う。フランス人には「決して飛び降りるな」と言う。そして日本人には、「もうみんな飛び降りた」と言えばよい。
これは科学的知見ではなく単なるジョークなのですが、他の人と違う行動を取ることを恐れる日本人の特徴をよく表しています。「人からどう思われているか」を気にする日本人の気持ちは、西洋のインテリにはわかりにくいと思います。インテリの西洋人は通常こう考えます。回心などという重要な決断は、日本人が自分ですべきであって強制したり誘導したりすべきではないと…。