■宗教改革500年を記念して(3)

紹介文
今年の初めから、「The House Church Book」の中でヴォルフガング・ジムソンが提唱した、「教会が生まれ変わるための15ヶ条の論題」をシリーズで紹介している。今号では、第8から第11までの論題を紹介する。

この15ヶ条の論題では、現代の教会が初代教会の姿と異なっている様々な面を指摘しながら、もともと神様が意図された教会の姿を提示している。読者の中には、批判されたと感じる方もおられるかもしれないが、「何とかして神さまが望んでおられる姿へと、一緒に成長していきたい」という著者の強い思いが根底にあることをご理解いただきたい。


第8の論題:官僚的聖職者から万民祭司へ

「神さまは、宗教の専門家がご自身と人との間に入り込むことを望んでおられない。」

ジムソンはこの第8の論題の中で、既存の教会の多くは、モーセ型であると指摘している。つまり、宗教の専門家が神さまと会衆との間に立って神さまの御言葉と御心を会衆に取り次いでいる、というのである。この宗教の専門家を第一の論題では「霊的なスペシャリスト」と呼んだ。

この宗教の専門家がいる教会や共同体では、この専門家を中心とした一部の人たちが前もって決められたプログラムを進め、それ以外の大多数の人たちは、ただその恩恵を被る。何か役割を与えられて参加することもあるが、それでも決められたことを、従順に行うのである。

またそのような共同体では、重要な決断はその専門家を中心としたごく少数の人たちによってなされる。その他大勢に、決断に参加する機会が与えられるとしても、たいていの場合、もう大まかなことは決められていて、それに賛成するか反対するかの意思表示をするだけである。

宗教の専門家以外の人たちは、その専門家たちの指導を仰がなければいけないと感じたりする。集団の中で、専門家たちと自分の意見が違った場合は、その共同体の中にいる限り、専門家の方に従わなければいけないという無言の圧力があったりする。無言どころか、そうするべきだと教えられることまである。