■福音は伝わっていますか(15) 内にキリストが形造られる

紹介文
育成の達人であるイエスさまは、まずご自分が模範を示し、弟子たちが自分で取り組む機会を与え、話をよく聞き、良い質問をし、弟子たちの行動についてフィードバックし、短い作戦説明をして派遣し、派遣の後には状況報告の場を設けられました。また、次の派遣の機会には「他者を送り出す側」がどんなものかを経験させられました。

福音を伝えるという言葉の中には、神の言葉が語られたらすぐに従順に従うだけではなく、良い習慣が形作られていくということも含まれています。御心にかなう思いと行動を「気づいたらしてしまっていた」というほど、神に従うことが生活の主旋律になっている人々が育つことが、わたしたちのうちに「キリストが形造られる」(ガラテヤ4:19)という言葉の内容なのです。


・イメージするスキル、仲間と支え合うスキル

「福音は伝わっていますか(12) 福音に生きる」(【RAC通信プラス】 – 2018.03.27号…【有料版】第153号)では、福音を理解するだけでなく福音に生きるために、第1に、神といつも会話するという状態をイメージし、第2に、愛するという命令をスキルに分解して世界に対して実践し、第3に、仲間と支えあう関係を結ぶ、というように天外内の三つのステップを踏むことをお勧めしました。

その記事では、第2の「世界に対して愛を実践する」という行動だけを取り上げて、実践に移していくために必要なスキルについて提案しましたが、実は、第1の「イメージする」ことも、第3の「仲間と結び合う」こともスキルとして理解することができます。

これを能力(ability)だと言ってしまうと、「先天的に能力に欠けているから」とか「向いていない」などと、言い訳したくなる人も出てくるかもしれません。しかし、英語の「skill」という意味のスキル、つまり、後天的に練習して獲得することができる技能だと理解するなら、少々時間がかかる場合があるかもしれませんが、習得は、その人が継続して反復するかどうかにかかっている、というように解決策がシンプルになります。

事例を挙げて説明してみましょう。まず、第1の「イメージするスキル」について事例を挙げます。吉田茂首相のブレインで白洲次郎という人がいました。この方は大正後期から昭和初期にかけて、拙宅の近くに住んでおられました。緑道沿いに記念碑があり、そこには、かつてここに敷地4万坪の家があったという説明と、それに関連する白洲次郎の略歴が刻み込まれています。

私は散歩の途中にその記念碑を読むことを日課としています。読みながら、GHQ要人をして「従順ならざる唯一の日本人」と言わしめた方とのヴァーチャルな会話をしています。そのことを通して、人々の誇りと幸福のために使命を果たすことがどういうことなのかをイメージするのです。白洲屋敷跡の記念碑を読むことは、「イメージするスキル」の一つです。