■失われた弟子訓練の技術

紹介文
私たちは教会で、「弟子」という言葉をよく使いますが、それはどういう意味でしょうか? この言葉を理解するためには、イエスさまの時代に、人々がどのように知識や技術を習ったかを知らなければなりません。その頃の習い方は、今の時代とはずいぶん違ったからです。

知識や技術を習うことは、頭を使って勉強することではありませんでした。人と人が一緒に時間を過ごして、一緒に作業をすることによって習うことでした。だから、イエスさまの弟子を育成するためには、固定的な勉強のプログラムよりも、マンツーマンの実践的育成の方が適しているのです。


私は文字が大好きです。書体、デザイン、印刷など、文字のことならなんでも興味があります。コンピューターが登場するまで、西洋で主流となっていた印刷は活版印刷でした。多くの活字を組み合わせ、活字の上にインクを塗って、紙に押しつけることで印刷していました。

しかし、その前の段階として、金属を削って活字を作る必要がありました。第1の段階は、活字と同じ凸型をした父型を硬い金属に打刻することによって作ることでした。これが活字の元でした。凹型の母型の基となる凸型の父型が一つあれば、母型を量産することができました。

では、父型をどうやって作ったのでしょう。数年前に、フレッド・スメイヤーズ(Fred Smeijers)というオランダ人が、この質問を答えるために、15世紀から19世紀の金属活字の作り方について研究したのですが、どのように父型を掘ったのかはわかりませんでした。本や印刷との深い関係があるテーマなのに、説明書などはあまりなく、技術は失われてしまいました。