■あなたに何のかかわりがありますか

紹介文
弟子は一人ひとり違う「自分の十字架」(マタイ16:24、マルコ8:34、ルカ9:23)を負ってイエスさまについていくものです。チームとして任務に当たることもありますが、だからといって、チームメイトの最後の舞台に共に立つことは許されません。本当の友だちなら、「りっぱに最後の舞台を勤めて、神の栄光を表してください」というべきなのです。

復活の主に、「それがあなたに何のかかわりがありますか。あなたはわたしに従いなさい」と言われたとき、ペテロはミッションを遂行して最後の舞台を勤めあげることに集中しようと思ったのだと思います。責任範囲を越えて他者とかかわろうとすることは、神の権限を軽んじ、神が愛しておられる兄弟姉妹の尊厳を犯す行為です。


ヨハネの福音書第21章のイエスさまとペテロの問答は、ペテロが主を否んだ夜に暖を取っていた炭火と、同様の炭火のそばでなされたと思われます。三度「知らない」と言ったペテロが、三度「愛している」と告白する機会を与えられました。それは、内面のいやしでしたが、いやされたペテロの使命を自覚させ、ペテロの生涯の最後を予め知らせて、覚悟させるという目的もありました。17節後半から19節を引用します。

「イエスは彼に言われた。『わたしの羊を飼いなさい。まことに、まことに、あなたに告げます。あなたは若かった時には、自分で帯を締めて、自分の歩きたい所を歩きました。しかし年をとると、あなたは自分の手を伸ばし、ほかの人があなたに帯をさせて、あなたの行きたくない所に連れて行きます。』これは、ペテロがどのような死に方をして、神の栄光を現わすかを示して、言われたことであった。こうお話しになってから、ペテロに言われた。『わたしに従いなさい。』」

最初にペテロを召し出した浜辺において、地上でのミッションを完遂した主イエスが、「お前も最後まで逃げずに、羊を見捨てないで養いなさい。私があなたにそうしたように…」という最後の指示をして、ペテロの育成を締めくくられたエピソードは、その直前の会話同様、美しく荘厳です。

生き方だけでなく、死に方を通しても神の栄光を現わすことができることを聞いたペテロは、二人の会話を聞こうとしてついて来たヨハネのことが気になりました。そして、イエスさまに尋ねます。「主よ。この人はどうですか。」(21節)ヨハネはかけがえのない友人だったので、ペテロがそのように尋ねるのは当然でした。