■Cool Japan!(7) 最終回

紹介文
「自分の強みを自覚するのは難しい」とある人が言いました。私たち日本人は、弱点や欠点と思われるものには敏感ですが、自分の長所や強みには、あまり注意を払わないのではないでしょうか。

ある調査によれば、世界で最も人気のある観光地は日本だそうです。しかし、世界の人々が感じている日本の魅力や良さを、日本人である私たち自身が一番自覚していないのかもしれません。また、西洋的な世界観を内包するキリスト教に慣れ親しんでいる私たちは、西洋文化と比較して、日本の社会や文化を否定的に評価する傾向があるようです。

このシリーズでは、「Cool Japan!(クールジャパン!)」と題して日本の文化や社会の成り立ちを、聖書に示されている価値観を用いて、観察し直すことを試みます。


これまで、「富士山」、「おもてなし」、「歴史的建造物」、「アニメ」、「和食」、「おそうじ」と6回にわたり、日本の文化、それも特に近年海外で注目されている日本の魅力を取り上げて、聖書から観察しなおす試みをしてまいりました。取り上げた6つの文化や社会の成り立ちが、日本の魅力の全てであるとは思いませんが、7回目の今回でシリーズの最終回とさせて頂きます。最終回の今回は、シリーズの根底にある考え方、視座を取り扱うことにより、まとめとなるように願っています。

まず、文化そのものについて考えてみましょう。一般的に文化と言えば、ある社会集団において共有される行動様式や生活様式の総体のことを言います。歴史的建造物のような有形の文化もあれば、おもてなしなどのような無形の文化もあります。有形の文化と無形の文化は、個別の物ではなく、氷山のように海面を境にして、目に見える部分と見えない部分がある一つのものであるとも説明できます。文化は体系的な教育によって習得されるものではなく、その社会集団に生まれ育つ中で、体験的に身につけるものです。また、文化は相互に影響し合うことや、社会状況の変化などを通して、時間をかけて変化するものでもあります。それでは、どのようにして社会集団に固有の文化が形成されたのでしょうか?