■身近にあるから行動できる

西遊記の主人公である三蔵法師のモデルとなった7世紀の仏教僧玄奘(げんじょう)は、すでに入滅していた釈迦の言葉が記されたお経を求め、国禁を犯して西域へと陸路で旅立ちました。仏典の研究は原典に拠るべきだと考えたからです。彼は16年後、経典657部をインドから持ち帰り、死の直前まで中国語に翻訳し続けたのですが、持ち帰った経典全体の約3分の1までしか翻訳を進めることができなかったそうです。

玄奘(げんじょう)のように、真理を求めて旅に出る人たちがいます。けれども、艱難辛苦を乗り越えて真理を理解した人たちが、その真理をどう生きたのかという質問は、別枠で問う必要があるのだと思います。理解と実践との間には、ときとして越えがたい溝があるのです。

・真理を求める旅