■地の塩 – 三方向への愛

「山上の垂訓」は、「心の貧しい者の幸い」から「義のために迫害されている者の幸い」までの、8項目の「幸福の教え」から始まります。それらの幸福を得るためにはどうすればよいかという具体的な実践提案が、後に続くのですが、その端緒を開くのが、「あなたがたは地の塩である」という宣言です。

「あなたがたは、地の塩です。もし塩が塩けをなくしたら、何によって塩けをつけるのでしょう。もう何の役にも立たず、外に捨てられて、人々に踏みつけられるだけです。」(マタイ5:13)

この宣言は、「山上の垂訓」の、いわば本編の扉なので、包括的でありつつ、実践へとつなぐ橋渡しの役割を担っていると考えられます。この重要な言葉を、天外内の枠組みを用いて解釈することがこの記事の目的ですが、「塩の契約」と対照しながら考察してまいります。