第1回日本ハウスチャーチカンファレンス:2 ハウスチャーチの中心は人間関係

新しく救われた人こそハウスチャーチを

日本初のハウスチャーチ・カンファレンスが6月6~8日、大阪市東淀川区で開催された。3日間で計106人が集まった。世界的な神学者で、ローザンヌ運動の東南アジアコーディネーターであるデイビッド・リム氏も初来日してカンファレンスに参加。世界のキリスト教界でハウスチャーチ(家の教会)が大きな渦になっていることを示した。

集いは静かに「神の声を聴く」ことからスタートした。大会中、この「神に聴く」時間が頻繁に取られ、また通常の集会と異なり、座席を円形に並べるスタイルがとられた。2日目午前のセッションは、日本各地のハウスチャーチ・ネットワークの事例報告と質疑応答。参加者の中には、家のほかに、カラオケ店やコーヒーショップなどでハウスチャーチを形成している人もいた。

ハワイから来日したハウスチャーチ・ネットワークのリーダー、大野純司氏は米国の統計を紹介。「多くのクリスチャンはメガチャーチに注目するが、成長しているメガチャーチは少数で、小さな教会のほうが成長のスピードは速い。ハワイで1万人以上いた教会が30人にまで減った」という現実に触れた。

4年半で20の家の教会を生み出した自らの体験も語った。その中の一つ、福岡では一時期「ハウスチャーチではなく、チャーチハウスになっていた」と言う。短期間に他の教会の人やノンクリスチャンなど20人以上が集まり、「枝を刈り取らねば」と感じるまでに。ノンクリスチャンには別の時間を作るなどの対応をした。ハウスチャーチの鉄則として「未信者の生活の場で、友人としての交わりを保つことのできる伝道志向の小グループを増殖させていく」ことを教えた。ハワイからもたらされた家の教会が、現在福岡では4世代目の教会を生み出している。

あらゆる国で宣教可能

千葉では6世代続くグループがある一方、4世代で停滞したグループの例が示された。原因として、集会と集会の合間の日常生活の中で経験してきた生き生きとしたリアリティが失われ、集会に来ること自体が目的化して、焦点がずれていったことを挙げる。「生活が礼拝であるという原点に戻る必要があります」。もう一つの原因は、当初は愛に基づいて聖書と生き方の模範を示すことで教示していたものが、5世代目ではコピーした資料を渡すという形になり、「正しく伝える」ことに力を注いで、「学びをしている気になっている」現実があったという。関西のハウスチャーチ・ネットワーク「BE ONE」は、「失敗することを大切にする」とし、多くの人をうなずかせた。

午後は、デイビッド・リム氏が、「日本・アジア・世界宣教におけるハウスチャーチの役割」について語った。「人生は人間関係、その他は大したことではない」とし、ハウスチャーチを始めるリーダーの条件として、1)神様との関係(ディボーション) 2)フレンドシップ伝道 3)クリスチャンとの交わり、が必要であり、ハウスチャーチは様々な宗教や社会体制を持つ国々に宣教できる方法であると語った。

ディボーションの重要性

リム氏は、イエスのように簡単な方法で、だれにでも理解できるように伝えていくことをアドバイス。教会は御名によって集まった2、3人の信者の群れであり、集会では使徒の働き2章42節にあるように、1)聖書の学び 2)フェローシップ 3)証 4)礼拝 の4つのことをする。特に個人のディボーション(聖書を読み、聖霊に聴き、それに従うこと)が大切だと強調。また、人が救われるためには特別な神学教育(解釈学、組織神学など)が不可欠なのではなく、プロテスタント信仰は、神が聖書の言葉を通して私たちを救ってくださることを信じるという原則に立つとした。

また、新しく救われた人こそハウスチャーチを新しく始めるにふさわしい人だということにも言及。きちんと学んでいない人が導く危うさや異端に繋がる危険性についての質問に対しては、教会のスタイルの如何に関わらず「いくらしっかりと神学を学んでも、異端との戦いは続く」とし、「小さな群れの中に臨在される聖霊の導きを信頼するかどうかだ」と述べた。

誘導は成長の妨げ

夜のセッションでは、「教会開拓者に対する継続的な支えと育成」についてパネルディスカッションが行われ、そこでは様々な疑問に対して実践的な例が出された。「弟子育成はどうしているのか?」では、スカイプ(インターネットでの無料電話)を用いてのコーチングが例として挙げられた。「弟子育成での失敗は?」では、「自分の形に人をはめようとして聖霊に聴かなかった」「その人を本当に愛していなかったのでは」「忍耐できず誘導することで成長を遅らせてしまった」といった事例が出された。

3日目は「ハウスチャーチを通した世界宣教」、「トレーニングの背後にある考え方」、「City Church教会開拓者の戦略的派遣」の3つの分科会が持たれた。講師たちは「ハウスチャーチ・ムーブメントを求めるのではなく、ジーザス・ムーブメントを求める」「動機とやり方をもう一度見つめ直す」ことなどを伝え、原点回帰を促した。最後のセッションではグループに分かれ、それぞれが神の声を聴き、「このカンファレンスを通して得た恵みをどのように具体化するのか」ということを分かち合った。

桃井 亮
リバイバル新聞2008年6月22日号