■目で見える御言葉:手話聖書とアプリの制作
埼玉県にある小さな二階建ての家。入ってみると、奇妙な静けさを感じました。誰もいないようですが、実は台所で5人の人が精力的に会議をしていました。部屋の隅の大きなパソコン画面には、もう一人の人が映し出されていました。スカイプで会議に参加していたのです。しかし、誰も声を出しませんでした。
ここは、日本ろう福音協会(JDEM)の本部です。この場所で、ろう手話の聖書翻訳という目的のための、たゆみない努力が続けられています。2階には、録音室が設置されています。
政府の統計によると、日本のろう者人口はおよそ31万人です。その内にクリスチャンがどのくらいいるのかという調査はされていませんが、1%だとするなら、3,000、4,000人ぐらいだと思われます。このようにわずかな人数にもかかわらず、日本の手話聖書翻訳事業は世界をリードをする役割を担っています。
1993年に協会が設立されましたが、それ以来、聖書の2割にあたる18巻の翻訳を完成しました。去年だけで3巻翻訳しました。「出エジプト記」と「テトスへの手紙」と「エフェソ人の信徒への手紙」の三つです。聴者の宣教師が、翻訳顧問として専従していますが、理事、役員とスタッフは皆、日本人のろう者です。
そのうちの一人は、翻訳プロジェクトのリーダーを務めている矢野羽衣子さんです。矢野さんは、ろうの全寮制学校でクリスチャンと出会いましたが、そのときには、クリスチャンに対する印象があまり良くなくて、クリスチャンになる気にはなりませんでした。