■信じてすぐに福音を伝える

紹介文
福音を伝える最善のタイミングは、信仰を持った直後です。多くの人は、伝える前に福音のことをよく学び、知識を得なければならないと考えているようです。しかし、聖書に登場するほとんどの人たちは、神学などの知識は何一つ持ち合わせていませんでした。

実例をご紹介しながら、信仰を持った人がすぐに福音を伝えることの大切さについて考えてみましょう。


皆さんは、クリスチャンになった人が、自ら福音を伝えることができるようになるまで、どれくらいの時間が必要だと思いますか? 多くの人は、伝える前に福音のことをよく学び、知識を得なければならないと考えているようです。

「私はまだキリスト教がよくわからないので…」という言葉をよく耳にします。それは、伝道しないことの言い訳なのかもしれません。しかし、福音を伝える最善のタイミングは、信仰を持った直後です。その時から、生涯にわたって、キリストの偉大さを伝え続ける生活が始まります。

それでは、ある人が分かち合ってくださった実例をご紹介しましょう。

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コンサルタントをしている友人から、「研修の打ち上げの二次会に来て、参加者と交流してほしい」と依頼され、続けて顔を出していたことがありました。ある時、40人くらいの人たちが、研修後の二次会に参加するため、大きなレストランに集まりました。

その中には、2ヵ月前、私が救いに導いた2人の人が含まれていました。私が座った8人掛けのテーブルにその2人もいて、他にも5人がひとつのグループとなって話していたのです。

そこにいた5人の人たちも、2ヵ月前の一次会には出ていたので、クリスチャンになった2人のことは知っていました。ところが、イエスさまを信じた2人を見て、同じ人とは思えないと思いました。あまりにも様子が違ったので、それを見て驚いたのです。

2ヵ月前に会った時には、ビジネスをたたむことを考えて暗い顔をしていたのですが、今は喜びに満ちています。不思議に思った5人の人たちは、「この2か月の間に何が起こったんですか?」と、イエスさまを信じた2人の人たちに思わず尋ねました。

すると2人のうちの一人は、「神さまと話しながら生活し始めているんです」と答えました。それを聞いた5人の人たちは、「えー、そんなことができるのですか?」と言って感嘆の声を上げました。そして、「それ、私もできますかね?」と言いました。興味を持つ人が出てきたのです。

私はすかさず声を掛けました。「誰でもできます。今日からできます。今すぐにでもできます。そんな風に神さまとお話ししてみたいですか?」そのように申し上げると、5人の人たちは揃って手を挙げました。

「それでは、神さまとお話しができるようにお助けしますが、その前に神さまがどういう方かということを知っていた方が良いと思うのですが、知りたいですか?」そのように訊ねると、彼らは「それも知りたい」と言います。

そこで私は、創世記からイエスさまの受肉、十字架、復活、再臨、そして最後の審判に至るまでの話を6、7分で話しました。そして、「イエスさまがあなたを招いておられるので、その招きを受け入れるなら、イエスさまとずっとお話ししながら、聞き従って新しい人生を生きることができるようになります。みなさんも、この人たちのようになります 」と2人を指して言いました。

5人は、「ぜひお招きしたい」と口々におっしゃいました。そこで私は、その場で彼らを信仰告白に導きました。その時、そこにいた5人の人たち全員が、同時にイエスさまを信じたのです。

私たちは、信じてすぐの人に天外内トレーニングを簡単に教えます。まず、神さまと話す練習をし、その後すぐに、自分が経験したことを他の人に話す練習をします。最後に、天外内組と呼んでいる、同性の信者数人で、定期的に集まるグループの中で生活を分かち合います。これはすぐにその場ではできないのですが、いつ誰と始めるかというアレンジはその場でしてしまいます。

この時、とっても感動しておもしろかったのは、福音を伝える輪が、すぐにその先も続いて広がっていったということでした。

そのテーブルでの話が終わったので、私は別の8人掛けのテーブルに移って同じような伝道をしました。いくつかテーブルを巡って伝道をしたり、祝福したりしました。1時間ほど経ってから、ある建築士にお会いしました。その方は他のスタッフの導きによって、私が会う直前に、すでにイエスさまを受け入れていました。

神さまと会話する練習をした後に、「イエスさまを受け入れてからどんな変化がありましたか? 午前中と今とでは何が違うでしょうか?」と聞いてみました。するとその方は、「実は私は人生を諦めていたのです。でも、今は希望が見えてきました」と仰いました。

そこで私は、「隣のテーブルの人がまだイエスさまを信じていないので、その話をしに行きませんか?」と聞いてみると、その人は「はい」と答えました。そして、その建築士は、すぐに立ち上がって隣のテーブルに移り、自分がほんの5分前に経験したことを大胆に話しました。すると、その救われたばかりの建築士の話を聞いた2人のビジネスマンが、またイエスさまを信じました。

その3人は他のスタッフに任せて天外内組のことなどを教えてもらっている間に、建築士に、さらに隣のテーブルの人たちにも伝えるように促してみました。すると彼は、そこに行って話し始め、そこでまた2人が救われました。

20分の間に5人が救われたのですが、その内の4人は、20分前に救われたばかりの人が用いられて福音が広がったのです。このようにしてその夜、イエスさまを知らなかった20人ほどのビジネスマンが、イエスさまと会話しながら、その指示に従う生き方を選びました。

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この話が素晴らしいのは、ビジネスマンの人たちに福音が伝わり、信仰を持っただけでなく、その直後に自ら福音を伝えることができたことです。

信仰を持った直後の人でも福音を伝えることはできます。ゲラサ地方で悪霊に取りつかれていた人も(マルコ5:20)、サマリアの井戸端で佇んでいた女性も(ヨハネ4:29)、イエスさまと出会ってすぐに他の人たちに伝え、彼らを通してたくさんの人たちが信仰を持ちました。なぜなら、福音は知識ではなく体験であり、神さまとの関係だからです。

日本人は消極的になりがちですが、このビジネスマンたちには、信仰を持ってすぐにでも福音を伝える条件が整っていました。その条件を整えることによって、他の人でもすぐに福音を伝えることができます。

その条件とは、第一に、イエスさまを体験し、感動していたことです。人は、自分で体験して感動したことは人に伝えたいと思うものです。逆に言えば、この体験や感動がない限り、どれだけ正確な福音理解と知識を持っていても、自発的に伝える力にはなりにくいでしょう。

第二に、伝えるべき内容と、方法を理解していたことです。数週間に及ぶ勉強会やセミナーで得た知識は、咀嚼して自分のものとするために時間がかかります。けれども、この時に伝えられたのは、その場で伝えられるようなシンプルな知識であったため、彼らはすぐにそれを再現することができました。

第三に、福音を伝える現場がすぐに与えられたことです。そこには、信じる前の自分と同じような境遇の人たちがいて、「彼らにすぐに伝えませんか?」という提案がされました。イエスさまと出会った興奮と勢いがある間が、一番伝えやすいタイミングです。

イエスさまと出会ってすぐに福音を伝えることは、キリストの弟子として成長するためにも最善のタイミングであり、最高の経験です。信仰生活のスタート時点から福音を伝える経験をしている彼らにとって、福音を伝えることは自然な行動となるからです。

また、学んだことをすぐに実践することは、記憶を定着させるために効果的であることもよく知られています。さらに、それを誰かに教えることによって、その知識を自分のものとすることができるのです。

福音を伝える前に、まず学ばせようとすることで、その人の中にある福音を伝える力を奪ってしまってはいませんか? 私たちはむしろ、その人がすぐに福音を伝えられるように助けてあげるべきです。日本中に福音が伝わるためには、もっとたくさんの人たちが宣教の働きに参加する必要があるのですから…。

KENTARO

【RAC通信】 – 2019.07.02号  KENTARO